ビジョン2018   

 

1.CFFマレーシアの活動内容概要

 

 ➀子どもの家(児童養護施設)の運営

 ➁青少年育成事業(ワークキャンプとスタディツアー)

 ➂環境保全型循環農業

 

 20084月に児童養護施設を建設、運営する目的で、現地にて非営利法人としての認可を得た。上記②青少年育成事業と➂環境保全型農業は、➀児童養護施設の自立運営のために行っている事業である。従来の寄付や補助金に依存するチャリティモデルから脱却し、「自立」「持続可能」な仕組みを作り、地域(村)貢献を行い、「地域と共に育つ施設」というソーシャルモデルを目指している。事業開始当初からこのコンセプトのもと、施設の建設地は元果樹園である肥沃な土地を購入し、自然資源活用による自給的経営基盤づくりのための10か年計画を立てた。

2.10か年計画の概要

 

1)児童養護施設「子どもの家」の運営を以下の3側面において持続可能なものとする。

 

①環境再生可能エネルギーの活用とリサイクルによる持続的生活基盤の構築。 

福祉:社会的生産者としての施設運営(環境保全型農業と子どもの療育、職業訓練の連動)

経済:環境保全農業による土地の有効活用と生産物マーケティングによる経済的自立運営

 

2)目指すゴール

 

再生利用可能エネルギーを利用し、自然の恵みを生かした生活基盤により、子どもたちが永続的に安心して暮らせる「地域モデル」を創る。

 

福祉分野の課題(社会的に受動的であることと、子どもを広告塔にした寄付依存型経営=チャリティモデル)、 環境分野の課題(環境破壊や大自然の価値を未来に生かす実践的モデルが「住民参加型」で行われている地域が少ない等)の両課題を融合させた実践的な課題解決を行うこと。

 

施設に入所する子どもは一方的な福祉サービスの受け手ではなく、コミュニティと協働しながら農業生産活動、環境保全、福祉アウトリーチサービスなどを通して施設の社会化を促進し、施設機能そのものがコミュニティにとって有益な生産的運動体、社会資源となること。

 

3)活動内容詳細

 

 前期5年(2008年~2012年)→「人」「もの」「お金」を投資し続け、土地の基礎開

発と、子どもの受け入れ態勢(ハードとソフトの両面)を整えながら、持続可能な運営のありかたを様々な角度から、実験、検証する期間。

   

 *主な活動内容(これまで行ってきたこと)

 ①土地購入

②団体の非営利法人としての認可

 ③土地の開拓

 ④建物建築

 ⑤インターンシップ、ボランティアの受け入れ

 ⑥環境保全型農業

 ⑦ワークキャンプ、スタディツアー

 ⑧障がい者のボランティアの場の提供

 ⑨開発計画の申請

 ⑩コミュニティーとの関係づくり

 ⑪資金調達

 ⑫子どもの受け入れ

 

  ● 後期5年(2013年~2018年)→引き続き、人、もの、お金の投資を続けながら、前期5

年間の活動評価を行い、土地の有効開発を継続し、20人の子どもの受け入れ態勢を2018年までに完成させる。以下具体的な計画内容。

 

子どもの家メインハウス着工(現在11人の子どもだけであるが、2018年までに段階的に20人まで受け入れる)。建物は2015年にメインハウスが完成。

    福祉局との連携を強化し、CFFマレーシアとしての「子どもの養育方針(オペレーションマニュアル)を完成さ(2017年)、行政や家族(当該児童の親族等)との協働関係における責任の明確化と、共有(法的拘束力のある同意)までのプロセスを完成させる

    新法律に伴う運営認可の申請(2015年所得済み)

    これまでのサステイナブルデザインの取り組みを評価、修正し、後期の具体的プランを明確にする(2015年)

    CFFインターナショナル(日本、フィリピン)との役割、協働のありかたを明確にする。協定(アライアンス)の締結。

    2018年度以降はワークキャンプを施設の外(村)で行い、地域貢献、地域協働を促進させる。

    研修制度の確立(①環境保全型農業の研修②ソーシャルモデルによる教育福祉の研修③OJTによる人材育成システム。これらを地域の各行政機関や、他組織と協働しながら、諸外国からのコンサルテーション(主に日本)等を交えて、作り上げていく。

    CFFマレーシアのある資源(物的、人的)を生かしながら、地域のおける就労の機会を作り上げていく

    マレーシア人の雇用割合を全体の66%以上にする

 

 

 

 

 

 

 

 

上記ベクトル ----->2018年までの「施設内に持ち込まれ、実践と検証」が行われる。

 

上記ベクトル  <----- 2018年度以降、施設内で培った技術や知恵を地域に還元していくベクトルである。

①ベクトル(ワークキャンプ)

 

 2018年までに約2000人のワークキャンプボランティアがCFFマレーシアの土地を開発し、間接的に地域開発と児童の成長に関わることを示すベクトル。このような青少年育成事業の場が施設内にあることは、児童にとって、社会適応訓練の場ともなる。反面、ここは実際の生活の場であり、規律やCFFマレーシアとしてある固有の家族的機能が、様々な人の出入りを受け入れ過ぎることによって、破壊されるリスクがあることを意識しながらこの青少年育成事業を推進していかなければならない。このベクトルは、2018年度以降は施設をとりまく地域にも向けられ、具体的には村の道路や橋などの建設をワークキャンプで行うことによって、施設が持っている機能(福祉施設だけではなく、青少年育成事業の場の提供や環境保全型農業など)が一施設としての福祉的ニーズを満たすという自己完結で終わるのではなく、ソーシャルインクルージョンという枠の中で、社会に還元される(施設の社会化、施設機能の資源化)。

ベクトル(就労)

 

 村の中に一施設を建て、その中に3事業(児童養護施設の運営、環境保全型農業、青少年育成事業)を設置したことにより、地域の人たちへの就労の機会を結果的に提供している。CFFマレーシアのある村は、マレーシアでも再貧困地区の一つであり、モラルの崩壊、環境破壊、青少年の非行や非就労、宗教や民族の軋轢問題などが顕著にある。村の青年の多くは都会にあこがれて村を出て行こうとするが、教育を受けていない青年は職につくことができない。仮に職についてもこういう青年はどんな仕事も長続きしない。都市部ではこのような村出身の青年の雇用を、敬遠し最初から想定外にしている会社、組織も少なくない。 

 そのような青年たちが主にCFFマレーシアの最初の働き手として雇用され、現在に至る。彼らの多くが、根気が続かず辞めていくが、一部ではあるが新しい価値観との出会い、またこれまで希望がなかった環境から立ち上がろうとしている青年もいる。このような青年が人間として成長しながら、前述したような地域の課題を解決していく主体者となっていくことを期待している。また、施設固定スタッフ以外の施設内でのボランティアや、インターン、訓練などの訓練生(ハウスぺアレンツ、農業従事者、青少年育成に関する仕事等)が、その経験と技術によって他機関等へ就職することの一助にもなる。

 

③ベクトル(研修)

 

 これまで、CFFマレーシアの3事業(福祉、環境保全型農業、青少年育成)に関する研修を政府機関、他NGOから多く受けてきた。また日本とマレーシアを中心とした多くの専門家がコンサルテーションを行ってきている。2013年現在はまだ、これらの研修で学んだことを施設内で試行錯誤しながら実験、効果を検証している段階であり、毎年評価を繰り返しながら2018年までには、CFFマレーシアの上記に関する独自の研修事業を完成させたい。例えば、現在はコンポストに関する研修の依頼が様々な機関からきている。将来的には事業収入となることを計画している。

④ベクトル(福祉、教育)

 

 2020年に先進国入りを目指しているマレーシアの経済成長は目覚ましいが、教育と福祉はその実質に伴っていない。国として質の伴った、教育と福祉システムの充実が国の大きな課題だとされている。農村部の状況はよりひどく、②のベクトルの項で既述したような、貧困、モラルの低下などの課題は大きい。福祉現場の現状を例えるなら、例えば、マレーシアの児童養護施設の現状は運営費の多くを寄付金に頼り、入所児童の処遇は子ども10人対してスタッフ一人程度であり、多くの施設が「食べられて、住める場所がある」というところでとどまってしまっている。CFFマレーシアでは先進国入り(経済だけではない、教育や福祉を含めた人間の生活の質)を目指しているマレーシアの現在の国の状況(中進国)を鑑みて、ソーシャルモデル(社会的弱者を税金で面倒を見るという考え方ではなく、社会的弱者も地域を構成するかけがえのない一員であるという視点に立ち、それぞれの一員が自己実現できるような社会が健全な社会であるという概念)の実践に挑戦している。個別支援や移行支援(退所後の子どもの進路)まで視野に入れた、地域、社会全体で子どもを守り、育てる仕組み)といった新しい福祉、教育の概念をまずは施設内で実現させ(2014年度完成予定のManual Operation)、2018年以降はその実践に地域を巻き込んで行っていき、実質の伴った地域貢献をしていきたい。

CFFMのビジョン(現在進行中の計画と今後の課題)
日本語ビジョン2018.pdf
PDFファイル 2.0 MB