現在進行中の

 

■■■ 持続可能な環境保全型農業システム(SIA) ■■■ 

    (Sustainable Integrated Agriculture System)

 

(1)前提

 

    CFFジャパンと協働で事業を展開するCFFマレーシアは子ども支援を軸に、そこに関わる「人」と「地域」 が「共に育ちあっていきたい」と考えています。

 ここでいう「人」とは児童養護施設の入所児童、周辺地域(村)の青年です。このうち入所児童に対しては、退所後に出身地域の未来を担うことのできる人材となって地域に再び戻っていくことができるよう職業訓練や進学も奨励し、地域貢献を主体的に推進していけるような人材育成プログラムを模索しています。次に現地の多くが、教育や福祉のサービスが十分に受けられず希望を持って生きていくことが困難な青年たちで(十分な教育を受けた青年の多くは都会や他国へ行く)、そのような彼らが環境保全型循環農業(SIA)の技術を身に着けて、希望と自信を持って地域に戻っていけるためのプログラムを探求しています。

 

(2)SIA事業をどのように実践していくのか

 


   
最重要生産物はコンポスト: CFFマレーシアでは2010年度より、農薬で汚染されていた敷地内の農地再生のために、コンポスト作りやエンザイム作りや、土の改良、生ごみなど有機物のリサイクルに取り組み始め、環境保全型循環農業の土台ができあがりました。特にSIA事業の要となるのが、この無農薬の環境基盤から生産される「コンポスト」でです。コンポストを原料とすることによって、以下の高品質の生産物が大量に、かつスピードを短縮して生産できます。

       a. 生姜  b. 野菜  c.養鶏  d.昆虫、幼虫生産(餌の原料)    
  
   

(3)SIAの稼働(各ユニット事業をリンクさせる)


  それぞれのユニットが単体で独立しているのではなく、ユニット同士が関連しあっています。従事者はこのインテグレーションの原理を学ぶことによって、CFF以外の場所でも各地域、土地柄にあった農作物とユニットの組み合わせを選定しSIAを実践することができます。米やパーム油等の一作物の大量生産は異常 気象等によって全滅することがありますが、コンポストをベースとしたSIAはあるユニットの作物が全滅して も他の作物がすべて全滅するわけではありません。また、すべてが無農薬で化学肥料等を一切使用しないため、 虫やバクテリアなどサイレントパートナーと作物の成長との相互依存関係を有効に活用できる利点を生か すことによって、土地と生物の生産サイクルを効果的に高め、安全で、経済的、かつ持続可能な生産活動が可能となります。     

 

4)SIAの事業例

 

 コンポストセンター

 

 すべての生産品がこのコンポストの特性によって生かされ、循環してまたコンポストに還っていきます。下図は現在工事中の大型コンポストセンター。子どもの家メインハウスの下のオーガニック畑に沿って建てられます2016年12月末に完成予定。現在は仮小屋で生産中で、すでに一部販売も開始しました。売れ行き上々で在庫はすべてなくなり次回の発送は12月中旬以降です。

 

  下が完成予想図。この木の箱の中で発酵、熟成されながら下の段へと移動していく。約50日間でコンポストができあがる。1か月12トン、年間144トンの生産を目指しています。出来上がったコンポストのうち80%は市場に出荷し、残り約20%はCFF内でのSIA農業のために利用されます。

 


●生姜

 

  今年の4月以降、3000株の生姜をコンポストで埋まったポリ袋の中に植えました。一袋当たり5キロ~最高10キロの生姜ができます。通常土の中で育てる生姜は1キロ~最高2キロと言われています。なぜこのような差がでるのか。その秘密はコンポストとポリ袋製造法にあります。 

 

  現在は取り合えずドリアンの木の下や仮小屋を建て、そこで生姜は育っています。今後施設運営が自立するための安定した収入を得るためには風雨に打たれても守られる安定した生育環境が必要です。来年度はそのための生姜プラントの建設を計画しています。下図は安定した生姜を育てるためのプラントのモデルです。2007年の4月に着工予定です。

● 放牧型養鶏場(20174月より開始)

 

①1 区画875 (35 ×25 )のウィンドロースペースを4 区画
    (
1 セット=3,500 ㎡)

 
②上記同サイズ(3,500)の放牧場を4か所設置する(合計14ヘクタール)

ウィンドロー(枯れ葉や藁にコンポストミミズなど様々なオーガニック素材を混ぜ1か月程度放置しておくと、無数の虫や幼虫が生産される。そこに鶏を放牧する。また幼虫製造センターで製造された幼虫やミミズをさらに加えて与えるため、栄養価の高いおいしい鶏が生産されます。

下記のような設備を1ユニットとして合計4ユニット設置します。      

その他    

 自然界の有機物(木、草、虫、糞、生ごみなどすべて)がコンポストになります。そしてそれらを餌としてバクテリアが増殖し、虫が繁殖、その虫を鶏やカエル、魚などが食べます。草は山羊が食べ山羊の糞はまたコンポストの原料となります。果物からはコンポストだけでなくエンザイムを簡単に作ることができます。農業経営の難しさは餌のコストと言われています。SIAでは通常ゴミになるものから有機物をさらに大量に生み出し、それを餌として使用し、そこから生産された生産物も最終的にはまたコンポストとして土に戻していきます。捨てるものはビニールや缶等以外に何もない、ましてやそれらが環境的にも経済的にも、福祉的にも(人間システムとしての福祉)連携しあい、その構造の中に生きることそのものが生活の基盤となるのです。

 

 CFFマレーシアではこのような環境の中で子どもたちは健やかに育っています。希望を持つことが難しかった子どもや、青年たちが、この「未来をケアする」SIA農業と人生を共にすることによって希望を見つけることができるよう願ってやみません。

 

 支援してくださっているみなさん、再度お願いになりますが、どうぞこのビジョン実現のためにもう一度ご寄付をお願いいたします。2018年度(ビジョン2018年のゴール)以降のCFFマレーシアは皆様から受けた寄付を、別の地域の人たちや世界の厳しい立場にある子供や青年たちの未来のために還元できる組織となることを目指しています。そこに到達するまであともう2年の支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

                                   20161210日 CFFマレーシア代表 安部光彦

持続可能な環境保全型農業プロジェクトの説明
上記の内容を収めたpdfファイル
支援者の皆様へzC.pdf
PDFファイル 1.4 MB